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セルフリサーチ市場、2024年の振り返りと2025年の業界展望
〜セルフリサーチサービス2社の代表が語る〜

 

ともにセルフリサーチサービスを手がけるプロダクトフォースとマーケティングアプリケーションズは、2024年から共同でセルフリサーチ市場に関する情報発信を行っています。セルフリサーチ市場は前年比138%※の急成長を遂げていますが、まだまだ可能性を秘めた市場です。両社は業界の内側から市場を盛り上げ、セルフリサーチをもっと「当たり前の選択肢」にすることを目指しています。
※3【セルフリサーチサービスの成長率】:日本マーケティング・リサーチ協会 第48回経営業務実態調査、セルフサービスプラットフォームの売上高を参考

<2024年における共同発表>
【2024年版】セルフリサーチサービス利用実態調査の結果を発表(2024年5月)
「セルフリサーチサービスカオスマップ2024年版」をプロダクトフォースとマーケティングアプリケーションズが共同で公開(2024年6月)

本記事では、そんな想いをもった両者の代表がセルフリサーチ市場の2024年を振り返り、2025年の業界展望について語り合った対談内容をお届けします!

<プロフィール>

株式会社プロダクトフォース
代表取締役 浜岡 宏樹
新卒で株式会社LIFULLに勤務。法人営業に従事し年間トップセールスを受賞後、社長補佐として複数のプロジェクトマネジメントを経験。
社内新規事業としてインタビュープラットフォーム「ユニーリサーチ」を起案した後、2023年に創業した株式会社プロダクトフォースに同事業をスピンアウト。代表取締役に就任。

株式会社マーケティングアプリケーションズ
代表取締役 竹中 司
2019年にマーケティングアプリケーションズに入社。
主力製品であるリサーチプラットフォーム事業の「forSurvey」、「Surveroid」においてセールス、マーケティング、カスタマーサクセス等のマネジメントを歴任。
カーブアウトにより事業が会社として独立した2022年に取締役に就任、2023年3月より代表取締役に

同じ経緯 異なるアプローチ 同じ想いをもつ2社

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
プロダクトフォースさんと当社は、実は「別会社の社内ベンチャーを起源に持つ」という意外な共通点があります。これまでの歩みや現在の事業内容について、改めてお互いに紹介していきたいと思います!

株式会社プロダクトフォース 代表取締役 浜岡宏樹氏

(プロダクトフォース)浜岡:
よろしくお願いします。

プロダクトフォースはインタビュープラットフォーム「ユニーリサーチ」を運営しています。このサービスは、ユーザーの声を求める企業と登録ユーザーをマッチングし、コストを抑えながら最短当日でインタビューが可能な環境を提供するものです。現在ではインタビューの他、アンケート調査、PoC・ホームユーステスト、オフライン調査など幅広い調査をだれでも手軽に実施することができます。

「ユニーリサーチ」の原点は、私が前職の株式会社LIFULLで取り組んでいた社内新規事業の立ち上げ経験にあります。事業創出を目指しチャレンジするも、鳴かず飛ばずの失敗が続きました。事業を1年間に4度もピボットすることになった要因を考えてみると、「ユーザーの解像度が低い」という点がありました。

新規事業の成功には不確実性を乗り越えるための深いユーザー理解が欠かせません。でも、当時世の中を見渡しても簡単にユーザーの声を聴ける仕組みが見当たらず、「これは需要があるのでは?」と着想しました。

LIFULL社内の新規事業として1年半ほど運営した後、「本気で人生を賭けるべきミッションだ」と感じ、独立を意識し始めました。そして2023年4月にLIFULL社からスピンアウト。プロダクトフォースが新たな事業主体となって、今に至ります。

株式会社マーケティングアプリケーションズ 代表取締役 竹中司氏

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
何度聞いてもドラマですね。

マーケティングアプリケーションズ(旧社名:株式会社ボーダーズ)も、実はWEB制作会社の社内ベンチャーとして立ち上がりました。

セルフリサーチ領域においては、調査のプロフェッショナル向けのサーベイツール「forSurvey(フォーサーベイ)」を2011年に、一般事業者向けのセルフ型ネットリーサーチシステム「Surveroid(サーベロイド)」を2008年に提供開始しました。
「Surveroid」は私たちがリサーチ請負の事業を行う傍らで、調査主自身がもっと手軽に低コストでリサーチ実施できる未来をつくりたいという想いから、国内セルフリサーチの草分けとしてリリースしました。

また「forSurvey」は、現在の事業においても中心的なサービスです。自社内でリサーチ請負のために開発したより専門性の高いソフトウェアを様々なリサーチ会社に展開することで、業界全体のDXを進めたいという想いが発端にあります。

私自身は2019年の入社です。リサーチ・プラットフォーム事業を継承する現在のマーケティングアプリケーションズが新たに設立された後、2023年に代表取締役に就任しました。

セルフリサーチサービスの事業は十数年近くの歴史がありますが、会社としては第二創業期を迎えたばかり。「みんなの声をもっと身近に」を新たなビジョンに掲げ、コアバリューやカルチャーも刷新するなど、新しい風を吹かせようとしているところです。

(プロダクトフォース)浜岡:
我々は新規事業におけるユーザーニーズの探索文脈から、マーケティングアプリケーションズさんはリサーチ業界における課題の発見から。違った経緯で始まった両社ですが、一緒にセルフリサーチをもっと盛り上げて、リサーチを身近なものにしていこうという想いを共有できているのは嬉しいですね!

2024年のセルフリサーチ市場を振り返る

(プロダクトフォース)浜岡:
ここからは、2024年の「セルフリサーチ市場」を振り返ってみたいと思います。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
まずプレイヤーが増えましたよね。サービスの幅や種類の拡大が顕著で、生体データの活用など新しい手法も目立ってきました。

(プロダクトフォース)浜岡:
今年に2024年6月に共同で発表した、セルフリサーチサービスのカオスマップは37サービスを掲載しました。ただ、それからわずか半年で一気にプレイヤーが増えてきました。セルフリサーチの勢いが加速しているのは、まず間違いないと思います。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
プレイヤーが増えたことで、セルフリサーチが特別な存在ではなくなってきたと感じています。

(プロダクトフォース)浜岡:
セルフリサーチは事業会社様が利用することが多いですが、直近ではサービスが飽和し、多くの企業様が差別化に苦しんでいます。競合に負けない唯一無二のプロダクトを生み出すには、年に一度のリサーチでは不十分です。小さな単位でも構わないので、頻繁にリサーチを行う必要がある。そして実際に小回りのきくセルフリサーチの仕組みが増えたことで、この流れを後押ししているんじゃないかなと思います。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
そう思います。目まぐるしく変化するユーザーニーズに対応するため、スピーディなリサーチを模索せざるを得ない状況になってきています。

小規模リサーチをセルフリサーチで行い、意思決定に関わるものは調査会社に依頼する、といった使い分けが進んでいるように思われます。

(プロダクトフォース)浜岡:
プロダクトを小さく生み出して顧客の声を聴き、フィードバックを重ねて改善していく手法はスタートアップや新規事業開発では浸透していましたが、それがより一般的な概念として受け入れられ始めているのかもしれませんね。

そうした変化を感じるようになったのが、2024年ですね。

2025年の業界展望、解決すべき課題とは

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
逆に、変化が足りなかったと感じた部分や、2025年に持ち越した課題はどんなことだと思いますか?

(プロダクトフォース)浜岡:
思ったよりもAI×リサーチの取り組みが、見られなかったなと…。他業界と比較すると、AIへのキャッチアップやDXスピードが遅いのではないかと、自分自身の反省も含めて思います。

竹中さんのお考えはいかがでしょうか?

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
セルフリサーチの普及でリサーチ人口が増える中、リサーチを正しく実行できる人と躓いてしまう人のグラデーションが明確になってくると思います。

調査するにも設問・選択肢の言い回し一つで得られる結果は変わります。経験を積んだ人でも間違うことがあるので、リサーチ初心者の方にとってのハードルは高いはずです。このハードルをテクノロジーによってどれだけ引き下げられるかは、大きなテーマになると思います。

(プロダクトフォース)浜岡:
なるほど。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
また、リサーチャーの時間の使い方も課題だと思います。本来集中すべきは、仮説を構築し、リサーチ結果をどう考えて課題解決に導くかという部分です。でも実際に時間が使われているのはデータを集める実査のパート。これはリサーチツールがまだ貢献しきれていない課題だと考えています。

初めてリサーチに挑む人が敷居をちゃんと跨げて、かつ面倒な作業は簡単に。そんなリサーチを当たり前にできるかどうか。

セルフリサーチ業界にとって2025年はすごく重要な年だと思います。

(プロダクトフォース)浜岡:
そうですね。

2025年は、リサーチの常識を変えるような新しいプレイヤーが引き続き登場してくると予想します。

今あるツールの多くは、伝統的なリサーチ手法を前提とした「プロセス」のDXをするものです。でも、これからはAIを前提とした、思いも寄らないイノベーティブなリサーチ手法が登場してくる可能性があると思います。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
そういった革新は国内より海外からの方が早く登場しそうでしょうか?もしくは海外ではもう既に現れていますか?

(プロダクトフォース)浜岡:
把握している限り、革新的というほどのサービスは海外でもなさそうですが、トライの数は、圧倒的に海外の方が多いと思います。その点では、海外が先行する可能性は高そうです。

プロダクトフォース&マーケティングアプリケーションズ、2025年の抱負

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
2025年、会社として目標にされていることはありますか?

(プロダクトフォース)浜岡:
マルチプロダクト化を進めていきたいですね。

プロダクトフォースはユーザー中心のプロダクトづくりの仕組みを提供することで「ものづくり全体のインフラになりたい」と考えています。するとインタビューソリューションだけだと足りなくて、他にも必要なプロダクトがたくさんあるはずです。

現在は広く探索している最中ですが、山積みの課題を解決するための新しいプロダクトを、2025年には出していきたいなと思います。現状の「ユニーリサーチ」の枠にとらわれず、色々と挑戦していきます。

マーケティングアプリケーションズさんは、いかがでしょうか。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
我々が目指すのはシンプルに2つです。

ひとつは、プロのマーケティングリサーチャーの能力拡張。もう一つはリサーチの裾野を広げることです。

事業サイクルを描く上で、「仮説構築」→「データ収集」→「可視化」→「仮説検証」→「意思決定」といったリサーチの流れがあります。既存ツールはこのうち「データ収集」「可視化」に重点を置きすぎていて、リサーチのプロがもっと別の工程で価値を出せるようにするには、ツールも機能拡張が必要だと思っています。

そして我々のサービスを広げることでリサーチの裾野を広がれば、ノウハウや知見を持つプロの価値もさらに高まる、という好循環を実現できると考えています。

2025年の情報発信について

(プロダクトフォース)浜岡:
2024年は3本の発表を行いましたが、2025年も引き続き共同での情報発信を積極的に行なっていきたいですね!

「セルフリサーチ」は一定の市民権を得てきていますが、カテゴリ認知はいまだ低い状況です。海外ではざっくり5,000億円ほどの市場規模があるとされていますが、国内では、ある統計からは50億程度と見られていて、まだ小さい。爆速で市場を盛り上げていくためには、一社で頑張るより共感してくれる企業と一緒に発信したいと思っています。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
これまでの発表では、特に調査会社様からの反響が大きいです。成長市場であるセルフリサーチ市場について理解を深めようとしてくださっています。

(プロダクトフォース)浜岡:
嬉しいですね。Xを見ていると「カオスマップ、欲しかった!」といったコメントもあって利用企業側にも伝わっていたと思います。定期的な情報発信には、やっぱり意味があるのだと感じました。

(マーケティングアプリケーションズ)竹中:
この取り組みは、最初浜岡さんのお声がけでスタートしました。「業界を盛り上げたい」という根幹の想いはもちろんありますが、お互いのビジョン・ミッションへの共感がすごくあったと思います。やらない理由はない。2025年も、たくさん発信していきましょう。

(プロダクトフォース)浜岡:
ありがとうございます。現在は2社で進めていますが、今後は仲間も増やしていきたいですね。さまざまな切り口で「セルフリサーチ」のリアルをお伝えしながら、もっともっと業界をパワーアップさせていきたいです!